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ここ数年でスーパーやコンビニのワインコーナーでも、パッと見ただけではわからないような、ペットボトルタイプのものをよく見かけるようになりました。
触ってみると、意外と柔らかいし、持っても軽いので驚く人もいます。
しかし、不思議なものでペットボトルとわかると、なぜか安っぽく感じてしまいますよね。
ワインはどちらかというとちょっとセレブな、高級なイメージがあるせいか、ペットボトルに違和感を感じてしまっているのかもしれません。
では、本当にペットボトルのワインは「安物」なんでしょうか?
実は、そんなこともないんです。
たとえば、年に一度の「ボージョレ・ヌーヴォー」のときには、わりといいお値段のものでも、ペットボトルが採用されている場合もあります。
そこで本記事では、ワインのペットボトル事情について、少し掘り下げて解説してみようと思います。
目次
なぜ今までペットボトルのワインがなかったのか?
以前、スーパーの酒コーナーで働いていた時に、棚の整理をしているときに、僕はこんな疑問がふと頭をよぎりました。
「コーラやサイダーなど炭酸飲料のペットボトルがあるのに、どうしてビールのペットボトルはないんだろう?」
「ウイスキーや焼酎のペットボトルはあるのに、どうしてワインのペットボトルはないんだろう?」
当時は、今のようにすぐに検索して、わからなことを解決する習慣がなかったので謎のままだったんですが、某ビールメーカーで働くことになった時に、この疑問は解明されました。
実は、ワインやビールはとっても酸化に弱い飲み物なんです。
通常のペットボトルですと、未開封の状態でも酸素がすり抜けてしまい、中の液体との酸化が起こってしまいます。
ワインやビールは、酸化が起こってしまうと、わかりやすく品質が低下してしまい、ハッキリ言って美味しくない状態になります。
また、香りの強いものの近くに、通常のペットボトルを置いておくと、匂いが移ることもあるんですよ。
特に香りが豊かで、味の繊細なワインは、ペットボトルに向いてなかったんですね。
酸化しにくいペットボトルの研究
メーカーの素晴らしい研究の成果により、現在では、ペットボトルの内側に特殊なコーティングをすることで、酸素バリア性を大幅に向上させています。
簡単にいうと、酸素が通り抜けにくくする技術で、酸化を防いでいるんですね。
これにより、瓶と同等の品質保持が出来るようになり、ワインの品質を守ってくれているんです。
Mercian(メルシャン)という国内大手のワインメーカーの商品開発研究所の調べでは、ペットボトルのワインの品質が1年半相当の安定性試験において、瓶と同等の評価を得ているそうです。
「え?たった1年半?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもワインのペットボトルは、まだ生まれたばかりの赤ちゃんのようなものです。
これからも素晴らしい技術の進歩により、品質の安定期間はどんどん伸びていくと思われます。
▼参考サイト
【KIRIN|Mercian 】ワインのためのペットボトル
ワインのペットボトルのメリット
Image by Daniel Reche from Pixabay
さて、そんなワインのペットボトルには、瓶と比べても非常に大きなメリットがあります。
▼ペットボトルのメリット
- 軽い
- 割れにくい
- 捨てやすい
- スクリューキャップ
一つずつ、見ていきましょう。
なんといっても軽い!
瓶と比べて、まず一番わかりやすいメリットといえば、「重さ」ではないでしょうか。
なんといっても、軽いっ!
ワインを買うときや持ち運びの時に、瓶のように「ズシッ」とくる重みがないだけで、とても楽ちんですよね。
自宅でワインを飲む時も、ちょっと軽いだけで注ぎやすかったりします。
そして、意外と知られてないのですが、ペットボトルになることで、メーカーは輸送コストを抑えることが出来ます。
総重量が軽くなることで、燃料費が抑えられますし、輸送手段によっては、一度に運べる量も増やすことが可能になります。
輸送費をおさえられれば、価格にも反映されるかも!?……なのです。
割れにくいので安心!
瓶の弱点ともいえる「割れる心配」が、ペットボトルにはほぼありません。
買い物帰りに、ちょこっとどこかでぶつけてみても、手がすべって落としてみても、割れることはほとんどないのは安心ですよね。
僕は、店員としてもメーカーとしても、ワインの陳列時に落として割ったことがあるので、ペットボトルは陳列するときのストレスがホントに少なくて済むと思います。
納品してくれる運送業者の方も、輸送時の割れる心配をしなくていいので、販売者側のメリットも大きいですよね。
捨てやすくて便利!
瓶で一番よく聞くデメリットが、「瓶の処分が面倒くさい」です。
瓶の回収日って少ないし、いざゴミ置き場まで持って行くのも重たいし…。
その点、ペットボトルだと簡単につぶして、他のペットボトルなどと一緒に、資源ごみとして簡単に捨てられます。
ペットボトル容器だと、リサイクルも可能なので環境にもやさしいですよね。
また、ラベルやキャップも取り外しやすく、『プラマーク』のついているものがほとんどなので、分別が厳しいエリアでも分けやすいです。
スクリューキャップで保存が楽ちん!
スクリューキャップというのは、ペットボトルのフタのようにくるくるくるっと回して開けるフタのことです。
ワインボトルの醍醐味ともいえる「コルク栓」ですが、どうしても初心者さんや気軽に飲みたい人にとっては、なかなかハードルが高いものです。
開栓するときに、コルクが割れてしまったりすると、言いようのない、かなしい気持ちになりますよね。
特に飲み残した場合、きちんと栓が出来ていないと、ワインが酸化して質が落ちてしまいます。
その点でいえば、スクリューキャップなら開栓は楽ですし、飲み残してもフタをして冷蔵庫で保存しておけば、1週間くらいは美味しく飲むことが出来ます。
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ペットボトルのデメリットとは
Image by Gerd Altmann from Pixabay
ペットボトルのいいところを書いてみましたが、デメリットはどんなものがあるのでしょうか?
まず、デメリットを挙げるとすれば、ペットボトル容器のワインは、現在ではまだまだ認知度が低いため「安っぽい」イメージがあります。
メーカー側も、ペットボトルに瓶のような光沢を出してみたり、ワインの種類を増やしてみたりと様々な努力をしているので、ペットボトル容器が、もう少し一般的になるのもそう遠くない未来かもしれません。
デメリットとして捉えるよりも、ペットボトル容器のワインは気軽に飲む用に、瓶のワインは記念日や大切な人と飲む用に、など使い分ける考え方のほうが建設的かもしれませんね。
2つ目のデメリットをあげるとしたら、ハッキリとした検証結果が出ていないため2年、3年、、、といった、長期保存には向いていないといったところでしょうか。
現在、販売されているペットボトル容器には、若くフレッシュなワインに多く使用されています。
ワインは、基本的に光や日光に当たると劣化してしまうので、特に赤ワインのボトルには色がついていますよね。
裏を返せば、色がついていないワインのボトルは、若いうちが美味しいので「早く飲んでくださいね」という意味もあるんです。
簡単にいうと、カジュアルに気軽に飲みたいときや、若いフレッシュなワインが好きな人は、ペットボトル容器のワインを選べばいいわけです。
わかりやすいのが「ボージョレ・ヌーヴォー」で、赤ワインでも透明のボトルに入っています。
ボージョレ・ヌーヴォーは、ほとんど熟成していないワインで、早く飲むことを前提としているためボトルに色がついていません。
なので、出来れば年内に飲むくらいのほうがいいんですよ。
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さて、ほかにもデメリットがないか考えてみたんですが、個人的には軽いがゆえに倒れやすい気がすると思います。
ペットボトルなのでほぼ割れることもないし、スクリューキャップで蓋をしておけば倒れても問題はないので、気にしなくてもいいレベルかもしれません。
今回の記事のまとめ
今回はワインのペットボトル容器について書いてみましたが、結論を言えば、安っぽく見えるというイメージがよくない印象を生んでいるようです。
そもそもワインには「高級感」というイメージが強く、僕もそうでしたが、お値段の高い印象が強いものでした。
しかし、ビールや清酒、焼酎などのお酒にかわって、ワインも日常で楽しむことが多いお酒になってきました。
ちょっと飲みたいときや、気軽に飲めるデイリーワインに、毎回瓶のボトルを選んでいたら、ゴミの処分も大変ですよね。
ワインを気軽に楽しみたい初心者さんや、飲み口の軽いフレッシュなワインが好きな人は、ペットボトル容器のワインでも十分楽しめます。
しかし、大切な人との記念日や上司や先輩、目上の人などとのかしこまった席でのワインには、相応の雰囲気や味を楽しめる瓶のボトルを選んだほうがいいと思いますよ。
要は、ワインを楽しむシーンに応じて使い分けるようにすれば、悩むことなくワインを美味しくいただくことが出来ます。
それにペットボトル容器のワインでも、一緒に食べる食事のメニューやおつまみ、ワイングラスなどのアイテムがあれば雰囲気は十分出ますよ。
ただ、「ペットボトル容器=安くて不味いワイン」という間違った誤解だけはしてほしくないですね。
以上、ワインのペットボトル事情についての記事でした。