ふだん使っていない腕時計って、どうやって保管していますか?
机の引き出しやタンスの中、専用の収納ケースなど、人によって保管する場所はバラバラだったりします。
しかし、この中には腕時計にとって、適切ではない保管場所もあります。
ちょっと高価な腕時計なら、保管の方法には、なおさら気をつけたほうがいいですよ。
そこで本記事では、元宝飾品店店員でブランド腕時計を販売していた僕が、マメ知識として腕時計の保管の方法をまとめてみました。
腕時計は、たとえ値段の安いものでもちゃんと保管しておかないと、いざというときに使い物にならなくなる場合があるので注意が必要です。
目次
腕時計を保管するときに気をつけるべきポイント
腕時計を保管するときに、最低限気をつけたほうがいいポイントがあります。
以下にまとめてみましたので、チェックしてみてくださいね。
- 磁気が発生する場所は避ける
- 高温多湿の場所に保管しない
- 日当たりのいい場所に置かない
- 電池が切れたまま、長期間放置しない
- 防虫剤のあるタンスのなかで保管しない
ひとつずつ、見ていきましょう。
磁気が発生する場所は避ける
磁気が発生する場所の近くに、腕時計を置き続けると、「磁化」とか「磁気帯び」といわれる状態になってしまいます。
現代で腕時計を管理するなら、一番に注意すべきポイントといっても過言ではありません。
磁気が発生する場所には、次のようなところがあります。
- スマホ
- パソコン
- テレビ
- スピーカー
- スマホケースやバッグのマグネットタイプの留め具
- HI調理器具…など
できるだけ保管するときは、これらの場所から10cm以上は離しておきましょう。
とくに機械式腕時計は、磁気帯びになってしまうと、内部の部品が磁気を帯びてしまい、正常に動かなくなります。
「脱磁」といった修理が必要になり、費用もけっこうかかりますので、ならないに越したことはないです。
ちなみに、現代のような磁気が多い環境でも、磁化しにくい「耐磁」性能がほどこされた腕時計もあるので、購入のときの参考にしてみるといいでしょう。
高温多湿の場所に保管しない
まず、気温についてですが、あまりに高温になる場所での腕時計の保管は、適切ではありません。
腕時計のパーツはほとんどが金属でできていることもあって、極度に高温なところでは、わずかながら膨張したり、ゆがみが出てしまう可能性があります。
精密機械ですので、膨張すれば摩擦も大きくなりますし、わずかな歪みでも時計の狂う原因になることもあり、最悪、故障を引き起こします。
ちなみに、5℃~35℃の範囲であれば問題ないといわれています。
次に湿度ですが、精度の高い防水レベルの腕時計なら、そんなに心配することはないのですが、面倒なのがカビですね。
革バンドは要注意ですし、金属タイプのバンドであっても、すきまにこびりついたホコリにカビがつくこともあります。
また、防水機能の弱いものや、たまたまリューズが緩んでいたりすると、湿気がケースの中に入ってしまい、結露やくもりを引き起こしたりします。
時計内部に水分が入るのは、かなり良くない状態ですので、腕時計の専門店に問い合わせたほうがいいでしょう。
ちなみに、シリカゲルなどの乾燥剤を密着させて、強引に乾燥させる方法がネット上にありますが、やはり内部に一度入った水分が及ぼす影響はわかりかねます。
高額な腕時計なら、なおさら専門店への問い合わせをおすすめします。
日当たりのいい場所に置かない
いくらソーラータイプの腕時計でも、ガンガンに真夏の太陽が当たるような場所に、ずーっと置いておくのはNGです。
さきほども触れましたが、腕時計が高温になることで不具合が起こる可能性はあるので、避けたほうがいいでしょう。
あと、文字盤や革ベルトが日焼けしてしまう可能性もあります。
経年劣化なら味があっていいのですが、急激な日焼けによる変色は避けたいですね。
電池が切れたまま、長期間放置しない
よくやってしまいがちなんですが、腕時計の電池が切れてしまったまま、長い間、放置してしまうと、内部で電池が液漏れしてしまうことがあります。
液漏れしてしまうと、腕時計そのものがダメになってしまうことが多いので、止まっているのを見つけたら、電池交換を早めにしておきましょう。
防虫剤のあるタンスのなかで保管しない
腕時計をタンスにしまっている人もけっこういますが、タンスの中には防虫用の薬剤(樟脳や防虫剤)は、腕時計のパーツによっては化学変化により変色したり、内部の潤滑油が変質することがあります。
また、衣類用の乾燥剤は強力すぎるので、腕時計の潤滑油が乾燥することがあり、故障の原因になることも。
シリカゲルは大丈夫という人もいますが、同じ理由から、あまり大きめのサイズのものはおすすめできません。
もし、腕時計の保管に利用するのであれば、小さなサイズのものでも十分ですよ。
腕時計の最適な保管方法とは
腕時計を保管するのであれば、やはり専用の収納ケースに入れておくのが、安心できます。
もちろん、電池が切れていないかのチェックや、機械式であればときどき動かしてあげるなどの配慮は必要です。
さきほど触れたような、保管に適さないポイントに注意を払っていれば、正直、めちゃめちゃ気にしないといけないということもありません。
高温多湿な日本の気候にしたって、住んでる場所や、建物の状態によっては、磁気にさえ気をつけていれば大丈夫なケースも多いです。
ただ、腕時計は精密機械なので、たとえば日光が当たって暑くなるのがわかっているような場所や、ジメジメしててカビや結露の心配をしなければならないようであれば、それなりの対策はするべきですね。
ふだん使用している腕時計のお手入れはどうしたらいい?
通勤や外出時といった、毎日のように腕時計を着用するのであれば、専用のクロスで拭いてあげたり、たまにブラシで掃除してあげるだけでも十分かと思います。
ちなみに、ブラシで掃除するのって気持ちいいですよw。
ネット上やホームセンターで腕時計のメンテナンスキットの販売を見かけますが、素人が裏蓋を開けるのは絶対にしないほうがいいですし、ベルトの分解もおすすめできません。
メンテナンスであれば、専門で腕時計を取り扱っているところに依頼したほうが無難です。
また、オーバーホールは腕時計を長く使うのであれば必須のメンテナンスなので、3~5年周期で行うように心がけましょう。
できれば購入するときに、オーバーホールにどのくらいの金額がかかるのかは、リサーチしておいたほうがいいですよ。
意外と知らない人も多いですし、ブランドによっては、かなり高額な料金がかかりますので。
腕時計をオシャレに保管する収納ケース
腕時計の収納ケースって、腕時計が好きな人なら、部屋にあるとテンション上がります!
注意点は、あまりに複数の腕時計を保管できるものを買ってしまうと、空いてるスペース分、腕時計が欲しくなっちゃいますw。
腕時計を収集する予定がないのであれば、多くても収納スペースが5つくらいのものにしておきましょう。
奥さんの腕時計もあわせて保管しておくと、けっこう感謝されますよ。
個人的には、ちゃんとクッションがあるものをおすすめします。
プラスチック製の引っ掛けるものだと、収納場所が破損する可能性がありますし、扱いが雑だと裏蓋に擦り傷がどんどんできてしまうので、僕はあまり好きではないです。
機械式腕時計にワインディングマシーンは必ず必要?
お客様にもよく聞かれた質問ですが、必ずしも必要かといわれると、「あれば便利」なレベルです。
ただし、機械式腕時計を着用する頻度が少ないのであれば、あったほうがいいかなと。
とくに機械式腕時計は、動き続けることで潤滑油がうまくいきわたりますし、パーツもスムーズに動き続けてくれます。
これが止まったままだと、潤滑油が固まってしまったり、乾いてしまう原因になります。
そして、ワインディングマシーンを調べてみると、価格にけっこうな差があることにも驚かれます。
正直、1万円前後のものであれば機能的にはまったく問題ないんですが、高価なワインディングマシーンには磁化防止機能や複数の腕時計の管理など、高価なりの性能があります。
LEDのライトアップやケースの材質・見た目でも、お値段はかなり変わるので、安すぎなければ問題ないです。
ちなみに個人的には、静音機能は重視したほうがいいと思いますよ。
腕時計がオシャレなインテリアに大変身するウォッチスタンド
ふだん使用している腕時計を見える場所に置きたいのであれば、ウォッチスタンドがおすすめですよ。
ここでは、参考までに3つほど紹介しておきます。
ウォッチスタンドを購入するときに気をつけてほしい点があって、安くて細身のものは避けたほうがいいですよ。
どうしても安くて細身のものは軽いため、腕時計を乗せたときにコケやすいんです。
場所によっては、腕時計に傷が入ってしまう恐れもありますし、高いところから落下すると故障の原因にもなります。
できるだけ、どっしりとした、倒れにくいデザインのものを選んだほうがいいでしょう。
まとめ:腕時計は精密機械!保管方法には気をつけよう
今回の記事では、腕時計の保管についてまとめてみました。
意外とやってしまってることの多い、テレビやパソコンの近くに置きっぱなしにしていないか、チェックしたほうがいいですよ。
ふだん、使っているものであれば、スタンドを利用することで、オシャレなインテリアにもなります。
しかし、長い間、使わないようなときは、それなりに保管場所には気をつかったほうがいいですね。
腕時計は身につけてなんぼだという意見ももっともなんですが、お気に入りの腕時計の針を目で追いながら、お酒飲んだりするのも悪くないですよ。
また、いい腕時計を購入しているのに、ふだん使用していない人は、ちゃんと正常に動くか、ときどき点検しましょう。
長く使いたいのであれば、やはり3~5年おきのオーバーホールはしたほうがいいです。
腕時計は精密機械なので、こういった細やかな配慮が、末永く使用できる最大のコツといえます。
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