うつで休職してわかったのは働きたくないわけではないということ

働くこと

うつで休職してわかったのは働きたくないわけではないということ

いまや社会的な問題ともいえるうつという病気。

外観だけではわからないことが多いといいますが、じつは本人も気付いていないことが多いんです。

 

「あれ?なんかおかしいな?」と思ったときには、症状はけっこう進行しているのですが、「大丈夫、疲れがたまってるだけ」とスルーしてしまうんですよね。

結果、仕事を続けるのが困難な状態になり、よくて休職、会社によっては退職を促されることも。

 

僕は症状が軽いほうだったのですが、休職期間に入ったばかりのときは、最悪の精神状態でした。

そんな休職中に気付いたことを、今回は忘備録として、書き残しておこうかと思います。

 

自分がうつかもしれないとなんとなく思ってる人や、うつになってしまっているのに休職することに抵抗がある人の参考になれば幸いです。

 

目次

うつで休職してわかったのは働きたくないわけではないということ

うつで休職してわかったのは働きたくないわけではないということ

 

よくね、ほんとによく「うつになったのは働きたくないからでしょ」っていう人がいます。

この言葉は、うつになった人にはとんでもない残酷な言葉なんですよ。

 

うつになった人は「働きたくない」んじゃなくて、「働きたくても働けなくなった」んです。

「家に引きこもって、のんびりできていいね?」冗談じゃない。

 

まわりもどう接していいのかわからない、自分も自分自身をどうしていいのかわからないなかで、「生」を終わらせることだって考えてしまいます。

「死を選ばなかったのは、死ぬ勇気さえなかったから」なんてひどいことを耳にしたこともあります。

 

違いますよ、断じて違います。

死を選ばなかったのは、「生きたいと思っているから」です。

 

怖くて怖くてしかたのない世界なのに、またふつうの生活をしたい。

仕事をして、給料をもらって、ご飯を食べていけるだけの日常に戻りたい。

 

休職期間に入って1か月もすれば、かなり深刻な状態でなければ、意外とこんなふうに思える時間が出てきます。

しかし、こんな風に思えても、復職や転職までの道のりはかなり険しいんですよ、、本人にとっても、受け入れる会社にとっても。

 

うつで休職している間に気付いたこと

うつで休職している間に気付いたこと

 

うつで休職している間に、いろいろなことに気づきました。

自分のこと、まわりのこと、世間的なこと、、そのへんをまとめてみました。

 

意外と、また働きたいと思える

休職期間に入ったばかりのときは、正直、人生詰んだと思ってました。

また、働きたいなんて微塵も思わなかったし、ふつうに生活することが可能かどうかも自信がなかったんです。

 

しかし、症状が落ち着いてくると、僕の場合は「社会の中に戻りたい」「人とかかわりたい」って思うようになりました。

こればかりは性格だと思ういますが、半年ほどの治療ののちに、パートを探していたんです。

 

まぁ、焦って入ったパート先がちょいブラックで、フラッシュバックは起きるは、またうつ症状は出だすはで、失敗に終わりましたけどね。

休職期間に入ったときは、自分の不甲斐なさを責めてばかりでしたが、時間が経てば、考え方や気持ちは変わってくるものです。

 

がんばってた仕事がじつは嫌だった

うつ状態になった職場では、ある資格が取りたくてがんばっていました。

よく考えれば、なんでそこまでその資格を取りたかったのか、よくわからないんですが、当時はものすごく固執していました。

 

人間関係もいいといえるものではなく、でも喜んでくれる人、心配してくれる人がいる職場でもあったので、自分はがんばれてると思い込んでました。

うつになってしまい、休職して職場を離れて気付いたのは、「めちゃめちゃその仕事が好きだったわけではないんだな」ってことでした。

 

資格を取るために、好きでいたかったのかもしれません。

職場を離れたことで、気持ちがこんなにも楽になれるなんて思いもしなかったです。

 

仕事を休んでることの罪悪感はいつかは薄れる

休職すると、迷惑をかけてるって自分を責めてしまいます。

まぁ、じっさい迷惑はかかってるわけですから。

 

でも、自分の病気と向き合い、治療していくと、この休職期間はやむを得ないものだと思えてきます。

あのまま、我慢してがんばっていたら、取り返しのつかないことになっていたかもしれませんしね。

 

休職をすることで迷惑をかけてしまうという自責の念は、思ってしまっても仕方がありません。

逆にいえば、そういった責任感の強さと周りの目を気にしすぎる思考、自分への追い込みが、うつへの発症になってつながってしまっているんでしょうね。

 

うつに対する理解度は低い

当たり前なのかもしれませんが、うつの人に積極的にかかわってくる人はいません。

むしろ、心ないことを言ってくる人もいます。

 

僕も「あいつはもうダメだ」「親に金をたかりに行くぞ」って親族に言われてました。

もう、悔しくて悔しくて、本気で死にたかったです。

 

父を早くに亡くしたので、「死ぬ」という言葉をかんたんに口にすることは大嫌いだったんですが、このときはつらかったですね。

だから幸せになって、見返してやるのが、今の僕の原動力のひとつです。

 

逆に、表立っては言えないけど、じつは身内にうつになった人がいるという人に会う機会が増えました。

わかってもらえるのは、経験者だけだと、なんとなく思ってるんでしょうね。

 

話すことで楽になる、聞いてもらえることで救われることが、こんなにも身近なものになるとは思っていませんでした。

 

当たり前だった世界が違って見える

ふつうに仕事をして、生活をしている日常が、当たり前だと思ってた毎日が、一度途切れたことで、「当たり前ってなんだろ」って思うようになりました。

正直に書けば、「当たり前のように我慢して、改善することもなく、惰性で流れに身を任せる毎日」って異常なのかもって。

 

「一度きりの人生だから」「やりたいことをやるべき」だという人は多いですけど、ほんとにやってる人ってほとんどいないですよね。

なぜなら、変えないほうが楽だから。

 

でも、うつになったときに、強制的に日常が変わったことで、当たり前だった世界が不自然に思えたんです。

うつになったこと自体は不幸な体験でしたが、得るものもあるもんだなって今では思えてます。

 

ただ、一つ失敗談をお伝えするとしたら、うつの治療中は正常な判断ができないので、大きなお金がかかるようなチャレンジはしないほうがいいですよ。

十中八九、カモられますので。

 

うつで休職している間にしたこと

うつで休職している間にしたこと

 

僕は薬での治療がメインだったのですが、服薬すると落ち着くので、その間にこれからどうしたらいいのか、ちょこちょこ調べてました。

そこで知ったのが、小さな成功体験を積み重ねること。

 

  • 天気がいいから散歩してみよう
  • 掃除をしよう
  • 神社に参拝に行ってみよう
  • 草取りをしてみよう
  • 本を読んでみよう

 

ふつうの状態であれば、いちいちメモることでもないんですが、当時はこういったリストを作って、できたらチェックを入れてました。

そしてその日の夜、寝る前に、なにができたかを確認して、明日は何をするかを考えながら、薬の作用で眠りにつく、という毎日です。

 

今でも、この習慣は続けていて、ブログをやったり、家事や子どものこと、パートの中でもかなり役立ってます。

「自分にもできることがある」という積み重ねのおかげで、今の僕は踏ん張れてるんです。

 

最後に

僕の場合は、うつの症状が落ち着いたころに、自分で稼ぐ方法を模索したことが、結果的に大きな財産になりました。

サラリーマン以外の生き方に挑戦するということは、おそらく、うつになってなかったらやってなかったと思います。

 

うつになったことで、世間から離れ、違った視点を持てたのは、いい意味で収穫だったです。

ただ、生命保険の審査では落とされるし、田舎ではただでさえ働く場所が少ないのが、さらに狭き門になるといったマイナス部分もあります。

 

田舎ならではというか、人づてに広まるのも早いですしね…。

だから、僕は家事や子どものことをしながら、ブログなどのインターネットで稼げる方法を実践して、生活の基盤を作っているつところです。

 

もし、「自分はうつかもしれない」「うつな気がするけど休職するのが不安」といったひとは、一度「日常」から離れるといった選択肢をおすすめします。

休職という選択肢は「逃げる」という行為ではなく、「治療」です。

 

必ず専門医に相談して、心も身体もしっかりと休養を取りましょう。

症状が落ち着いたら、今までの当たり前の中から、なにか違ったものが見えるかもしれませんよ。

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