この記事がおすすめの人
- 一生モノの腕時計の購入を検討中
- 初めての高級腕時計を購入しようと思っている
- オーバーホールってなに?
ロレックスにオメガ、ウブロなど、男性陣はこういった一生モノの高級腕時計を、1つは持っておきたいと思ったことがあるのではないでしょうか?
僕は宝飾店で働いていたときに、こういったブランド腕時計の一部を扱っていたのですが、ヘタなブランド物の服を着るより、ユニクロといい腕時計の組み合わせでも、男としてのレベルが数段上がっているように見える魔法のような効果があります。
ただ、なんといってもお値段が高いですよね。
それでもお金をためたり、ボーナスを使ったり、はたまたローンを組んででも購入を検討している人に、その腕時計を一生モノにするために最も必要な大事なことを教えます。
それはオーバーホールです。
店員をやっていたときに、あまりにオーバーホールのことを知らない人が多かったので、これからこういった一生モノの腕時計の購入を検討している人は、ぜひ参考までに読んでおいてくださいね。
目次
そもそもオーバーホールってなに?
オーバーホールとは「分解掃除」のことをいいます。
「分解掃除」とはその名の通り腕時計の内部のすべてのパーツを分解し、そのひとつひとつを洗浄したうえで新しい油を注しながら組み直していき、組み上がった腕時計になんらかの不具合が生じていないか点検をするといった、途方もない集中力と知識、技術力を必要とする一連の作業のことをいいます。
車でいえば点検や車検、人間でいえば健康診断や人間ドックのことだといえば、わかりやすいかもしれませんね。
腕時計の場合、表面上はきれいに大事に使っているように見えても、年数の経過とともに内部に注してある油の劣化や酸化により起こる、パーツの摩耗などを放っておくと腕時計自体の寿命にも影響を及ぼします。
工程の中にパーツの洗浄があるのは、こういった劣化した油を一度きれいに落として、新しい油をさし直すためでもあるんです。
また、裏蓋のところにはめてあるパッキンと呼ばれるゴム製のパーツが、劣化によりひび割れたり、ちぎれたりすると、内部に水分が入ってしまいかねない事態になります。
こういった蓋を開けてみないとわからないような不具合の原因や、交換が必要なパーツがないかを知るために、オーバーホールというメンテナンスは大事な作業になります。
ちなみに腕時計の中にはその種類にもよりますが、機械式時計なら最低でも100種類以上のパーツでくみ上げられています。
一度すべて分解したものをまた組み直すだけでも、相当の知識と技術力がないといけないのは想像でもわかると思います。
詳細は後述しますが、オーバーホールにそれなりの費用と時間がかかるのは、こういったちゃんとした理由があるんです。
オーバーホールはどのくらいの周期で必要なの?
オーバーホールの周期は3~5年といわれていますが、もちろん使用頻度や環境によって早まることもあります。
ちなみに、新品の腕時計を購入した場合は、内部のパーツ同士がなじむまでに極小の金属粉がでることがあったり、出荷から購入されるまでの時間差により内部の油が思いのほか劣化していることもあるんですよ。
ですから、購入後、遅くとも3年目には必ずオーバーホールに出すことをおすすめします。
それ以外でしたら以下のような状態になれば、よほどの故障でもない限り、通常のオーバーホールの時期だと思ってもいいと思います。
メモ
- クオーツタイプのものは電池交換をしても時計が動かない、または電池交換の感覚が明らかに短くなった場合
- 機械式では時間の精度がわかりやすく悪くなった場合
急に時刻の誤差が大きくなったり、頻繁に時間を合わせなければならないような状態であれば、内部に何らかの不具合が生じている可能性があります。
ここ数年ではパソコンやスマホ、テレビなどのデジタル製品があらゆる場所にあるため、磁気帯び、または磁気不良と呼ばれる不具合も多くなっているようです。
オーバーホールにかかる費用はどのくらい?
オーバーホールにかかる費用はそれぞれのブランドや、オーバーホールをしてくれるところによって、かなり価格に差があります。
『一生モノ』といえるほどの高級ブランド腕時計であれば、大体、20,000円~50,000円くらいが最低ラインだと思ってください。
なぜ最低ラインかというとほとんど身につけずに、ケースやワインダーの中に置いたままになっている場合だと、通常のオーバーホールのみで済むかもしれません。
しかし、内部パーツの交換やバンド、ブレスレットの交換が必要な場合は追加料金がかかります。
同じブランドの中でもタイプやシリーズによって、オーバーホールの価格が倍くらい違うこともあるので、購入するときにオーバーホールにかかる費用はチェックしておいたほうがいいかもしれません。
というのも、ブランド腕時計の中には10万円弱かかるものもザラにあるんです。
オーバーホールをメーカーや購入店に出さずに、専門店に出す場合には若干ですが、安くしてもらえる場合もあります。
しかし、パーツの交換が必要なくらいの摩耗、または破損が生じている場合、ブランドによってはパーツ自体の取り寄せが難しいこともあるんです。
もちろん、専門店だけあって、出来る限りの対応はしてくれるところもありますよ。
ただ、オーバーホールや修理の専門店であっても、一度は蓋を開けてみないとパーツの取り寄せが必要かどうかはわかりません。
再度見積もりを出してもらい、メーカーへ依頼し直すというケースもありえますが、大切な腕時計が長い間、手元にないことになりますが、やむを得ない理由なので不当なクレームを出したりしないようにしましょう。
あと、個人的におすすめしないのは、安易に安いところにオーバーホールに出すことです。
安くてもオーバーホール自体の質が悪いと、すぐに止まってしまったりすることもあり、原因を調べるために再度オーバーホールに出さなければならないことがあります。
『一生モノ』の腕時計として大切にしたいのであれば、価格表だけを見て安易に低料金なところに出さないことを強く奨めます。
オーバーホールに出している期間は何日くらい?
オーバーホールに出して返ってくるまでの期間は、大体1ヶ月~1.5か月くらいだと思っていてください。
もちろん、パーツの取り寄せや点検・検査での以上などがあれば、期間が延長されることもあります。
たとえばオーバーホール後に、親族や友人の結婚式などで使用したいときには、余裕をもって依頼するようにしましょう。
オーバーホールのオプション:ポリッシュ仕上げは超オススメ!
オーバーホールの出すときに、オプションで「ポリッシュ仕上げ」を付けるかどうか聞かれると思います。
「ポリッシュ仕上げ」というのは、ピッカピカに磨き上げてくれるサービスです。
深い傷を無理に消すことはまずないですが、すり傷程度の使用キズくらいなら新品並みにピッカピカに仕上げてくれるんですよ。
僕もビフォア・アフターを何度も見ましたが、驚くほどキレイになって返ってきますし、その時計を受け取る時のお客様の嬉しそうな顔を見るのも大好きでした。
一生モノの腕時計のオーバーホールはどこに出せばいい?
基本的には購入店で依頼、見積もりを出すのが一般的です。
しかし、ネットで購入した場合に依頼方法がわからなかったり、腕時計を購入後に引っ越すことで購入店に依頼が出せない場合や、費用面で比較してみたいときはどんなところがあるのかご紹介します。
正規メーカー
購入した腕時計の正規メーカーに依頼するメリットは、なんといっても信用度の高さです。
生産中止などにより部品そのものが手に入らない場合を除き、ほぼ確実に部品の交換はできますし、自社ブランドのあらゆるデータを持っているので不具合に対する対応は一番です。
ただし、他と比べて割高な料金設定になっていることが多いです。
またメーカーあるあるですが、わりとよく部品の交換を行う傾向にあるので、追加料金がかかるケースが多いのがデメリットといえばデメリットですね。
それゆえに、オーバーホールに出している期間も長くなりがちです。
それだけ完璧な状態で手元に返してくれる信頼の高さを取るのであれば、気持ち的にもメーカーが一番無難かもしれません。
時計修理専門店
時計修理専門店に出すメリットは、専門店ならではの技術料の高さと料金の安さです。
ただ、安さばかりを重視しすぎて、技術度の低いお店に依頼してしまうと、ちゃんとしたオーバーホールができていないこともあるので、依頼する店舗の技術レベルの高さ、信頼度などをちゃんとリサーチしたほうがいいです。
できれば、実際に店舗をかまえて運営しているような専門店に、直接話ができる状態で依頼するのがベストだと、僕は思います。
というのもネット上でしか運営していないお店の場合、高額な腕時計をいかに安全に配送するのかという点が、そもそも心配の種ですね。
ネット運営のみの専門店の場合は、安心できる専用の梱包キットを準備してくれるのかや、もしもの時の保険対応があるのかどうかなどを事前にチェックしておきましょう。
参考サイト
家電量販店
『一生モノ』の腕時計を、家電量販店にオーバーホールに出す人は少数派だと思いたいところですが、行き慣れた店舗であればいろいろ相談しやすかったりするので、腕時計の不具合やオーバーホールの相談に行く方も意外と多いと思います。
もちろん、ちゃんとした技術者が在中している場合もありますが、マニュアル通りの接客で対応している店員がいるケースも少なくありません。
受付時の対応や腕時計の取り扱いを見ていると、大丈夫なのかな…と不安になる人も多いと思います。
個人的にはカジュアルなクオーツタイプの電池交換くらいなら大丈夫だと思いますが、高額なブランド腕時計のオーバーホールには出さないほうがいいと思いますよ。
まとめ:オーバーホールはケチらずに必ず定期的に行おう!
僕が以前働いていた宝飾店で腕時計のオーバーホールを受けると、まずその費用の高額さと預けている期間の長さに驚かれます。
なぜそんなに必要になるのかを紐解いていけば、少しは納得できるのですが、ほとんどの人は高額な腕時計を購入した時点で、大事にしてさえいれば、何事もなく一生使えると思い込んでいるようです。
腕時計の専門店などで、専門知識を持ったスタッフに相談しながら購入すれば、こういった必要な知識を教えてもらえるかもしれませんが、ネットで購入したりするとわからないままの人もいるようです。
しかし、文字通り『一生モノ』の腕時計として大切に使っていきたいのであれば、確かなオーバーホールは必須になります。
ローンを組んでまで購入しようと思っているのであれば、3~5年おきに必要な費用が掛かることを、ちゃんと理解しておくようにしましょう。